ダウントレンドの中、強みを生かして大逆転!
新聞工場が始めた新ビジネスとは

 埼玉県川口市での新聞印刷工場が、空きスペースを活用してキクラゲの栽培を始めるというユニークな取り組みを耳にしました。
調べてみると、工場全体を転用したわけではなく、元・製版室だった区画に専用の栽培庫を設置し、「新聞印刷+キクラゲ栽培」という複合施設として新たな価値を生み出しているのです。

 背景には、デジタル化による新聞部数の減少があり、印刷拠点としての収益源を増やすため、社員のアイデアから新規事業として採用されたようです。
さらに、印刷工場はもともと紙の品質を保つため温度・湿度管理が精密に行われ、24時間体制の運用にも慣れた現場であることから、キクラゲ栽培にピッタリ!

 現在は、11m×12mの密閉型栽培庫で、5600個の菌床を管理し、1日20〜30kgの生キクラゲを収穫。温湿度やCO₂を自動制御するシステムで、スマホで状態を確認できる最新式です。栽培された「彩のきくらげ」は無農薬で品質が高く、希少価値の高い国産の高付加価値商品として高級食材店や高級レストランに卸されています。
 
 印刷工場が持つ大空間や環境管理技術、24時間運用体制といった特性が、屋内農業とマッチした見事な好例で、我々の業界でも従来の経営資産を別用途にアップサイクルするビジネスを見つけたくなりました。